行政訴訟判決

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  • ◆S53. 1.31 東京高裁 昭和51(行コ)61 所得税更正処分等取消請求控訴事件(3)

 

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九〇〇円(確定申告額より一二万一、五〇〇円、更正額より二万一、七〇〇円増)、控訴人Bにつき還付金額を八万五、三七二円(確定申告額より二二万五、四〇二円、更正額より四万三、二〇〇円減)とそれぞれ再更正した。これに対し、控訴人らは、右各処分の取消しを求めて、異議を申し立て、審査の請求をしたが、いずれも棄却された。
しかし、右各処分は、以下述べる理由によつて明らかなごとく違法である。すなわち、
(一) 所得税法九六条ないし一〇一条の規定する資産所得合算課税は、資産所得を恣意的に分散することによつて不当に租税負担の軽減を図ることを封ずるのを狙いとするものである。ところが、かかる租税回避行為の行なわれるのは資産所得についてだけではないのに、資産所得に限り、これを他の所得と別異に取り扱うばかりでなく、いわゆる実

質課税の原則を活用することによつて右のような弊害を防止し得るにかかわらず、資産所得合算課税の制度を設けたことは、そもそも、その合理的根拠に欠けるというべきである。そればかりでなく、法がかかる制度を設け、しかも、資産所得であれば、単に恣意的な分散の行なわれたものに対してだけでなく、合算対象世帯員が自己の固有財産として正当に稼得したものに対してもこの制度を適用し、当該資産所得がそれを稼得した世帯員の所得であることを否定して主たる所得者の所得とみなすことは、所得税法自らが実質課税の原則と個人単位の課税方式を放棄するものであり、この意味におい

て、資産所得合算課税の制度は、新憲法の基調とする個人の尊重と財産権の保障に違背し、さらに、累進税率の採られている現行税制の下では、被合算者を同一の担税力を有するその他の納税者よりまた、既婚者を未婚者より不利益に取り扱い、なお、婚姻生活に対する国家の妨害的措置にも該当する。それ故、資産所得合算課税の制度は、憲法一三条、一四条、二九条、三〇条及び八四条に違反して無効である。
もつとも、後に記述するごとく、この制度は資産所得の恣意的な名義上の分散が行なわれた場合にのみ適用されるものと解される余地があるとしても、その法文自体の曖昧・漠然

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