行政訴訟判決

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  • ◆S53. 1.31 東京高裁 昭和51(行コ)61 所得税更正処分等取消請求控訴事件(5)

 

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持し、脱漏した部分だけを追加決定するものであり、このことは、国税通則法二八条、二九条の規定からも窺知することができる。それ故、再更正のほかに更正の取消を求める訴えも、その利益がないとはいえない、と附陳した。
被控訴代理人は、
一、まず、本案前の抗弁として、更正と再更正とは、いずれも、独立した処分ではあるが、再更正は、当初更正に係る課税標準等を含め全体としての課税標準等を確認する処分であるから、再更正が行なわれた場合には、さきになされた更正は、再更正の処分内容としてそれに吸収されて一体となり、独立の存在を失うに至るから、その取消しを求める訴えは、訴えの利益を欠き不適法である。
二、本案の答弁として、控訴人らの主張事実は認めるが、法律上の主張は、すべて、これを争う。すなわち、
(1) 資産所

得合算課税の制度は、控訴人らのいうごとく単に租税回避行為を封ずることのみを目的とするものではなく、担税力に応じた公平な租税負担という税法の基本理念を実現するために設けられたものである。このことはさらに詳述すれば、現在の所得税法は、所得を稼得する個人を課税の単位としてとらえ、その所得に対して累進税率を適用することとしているが、このような課税単位の下にあつては、すでに昭和三一年一二月二五日付臨時税制調査会の答申が指摘しているように、担税力に応じた公平な租税負担という見地からみた場合、次の二つの点が問題となる。その一は、一つの世帯に一人の所

得者がいる場合と、二人以上の所得者がいる場合とでは、その世帯の所得の総額が同一であつても、累進税率の構造上、所得税負担の総額は、後者の方が前者よりもかなり少額となるが、それは、租税負担の公平という見地からみて軽きに失する、ということであり、その二は、現行の個人単位の所得税制では、実体が同じであつても、法的構成を変え、所得者が多数とすることによつて、租税の負担を軽減することができる不合理がある、ということである。そして、これらの矛盾を解決することができるかどうかは、いつに、課税単位の適正な決定という所得税制の基本問題にかかつているが、そ

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