行政訴訟判決

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  • ◆S53. 1.31 東京高裁 昭和51(行コ)61 所得税更正処分等取消請求控訴事件(9)

 

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必要もなく、広く、資産所得以外の所得についても、また、右の範囲の親族以外の者の間においても、合算課税を認めて然るべきであろう。しかるに、法がかかる挙に出なかつたことからしてみても明らかなように、この制度の本来の目的は、被控訴人も主張するごとく、むしろ、資産所得の特質に鑑み、租税負担の公平を期することにあるものというべきである。
およそ、租税が担税力に応じて公平に負担されなければならないことは、「租税正義」の要請として、ひとしく国民の希求するところであり、また、それが税制の基本理念であることは、多言を要しないところである。そして、担税力、すなわち、国民の租税支払能力の測定は、窮極的には、課税単位の決定というすぐれて税法的な問題の解決の仕方いかんによつて左右されるものであつて、憲法の基本原理たる個人の尊重や法

の下の平等の原則から当然に導き出されるものではない。現在の所得税法が課税単位につき個人単位主義を建前としているのは、それが夫婦別産制等現行私法秩序に適応しているとはいえ、もともと、所得税の課税標準たる所得が各個人によつて稼得され、かつ、それが稼得した本人に帰属し、消費されるという事実に徴し、担税力を個人単位に把握することが、租税公平負担の要請にそうこととなるからである。また、一方、現在の所得税法といえども、完全な個人単位主義を採用しているわけではなく、家族従業員への対価の必要経費不算入を規定したり(五六条)、配偶者や扶養親族について所

得控除を認めている(八三条、八四条)のも、担税力は個人を弧立したものとして測定すべきではなく、個人が世帯で生活を営んでいる事実を直視し、消費単位としての世帯ごとの経済状態を担税力の上に反映させるべきであるという考え方に基づいているのである。
ところで、前叙のごとく、所得を稼得する個人を課税単位としてとらえ、その所得に対して累進税率を適用する制度の下では、資産所得については、(1)同一金額の所得のある夫婦世帯であつても、夫のみがその所得を有する場合と、夫と妻がそれぞれその所得の一部ずつを有する場合とでは、後者の方の税額が前者の方の

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