行政訴訟判決

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  • ◆S53. 1.30 名古屋地裁 昭和51(行ウ)18 許可処分有効確認請求事件(2)

 

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する営業(以下「個室付浴場業」という。)を営んできたが、昭和五〇年八月六日に至つて死亡した。
二 原告は、Aの二男であるが、同人の死亡により、同日、本件建物における公衆浴場の営業許可、右浴場の設備である本件建物およびその敷地その他前記個室付浴場業の営業に関する一切の諸設備を相続した。
三 そこで、原告は、名古屋市中村保健所に対し、今後原告において個室付浴場業を経営する旨上申したところ、被告市長は昭和五〇年一二月一五日付書面をもつて原告に対し、相続により営業する場合には、亡父・A名義の営業の廃止届提出後、相続人が新たに許可を受けるべき旨回答をしてきた。
四 しかしながら、公衆浴場法二条一項の許可は、同条二項に明らかなとおり、その許可の審査基準は、もつぱら設置の場所若しくは構造設備等の客観的事情に

関するものであり、申請者の主観的な人的条件は全く要件とされていないのであつて、対物的許可であること明らかであり、右許可の効果は、相続により、当然物的設備の相続人に承継されるものである。従つて、原告は、前記相続により本件許可の効果を承継している。
五 而して、昭和四一年法律第九一号の風俗営業等取締法の改正法に基づく愛知県条例により、本件建物所在地は個室付浴場業を営むことを禁止する地域に指定された。
しかしながら、同法四条の四第三項はその除外規定を設けており、本件建物における「当該浴場業に係る営業」については右条例が適用されな

いのであつて、当時の経営者であるA及びその相続人である原告は従前どおり個室付浴場業を営むことができるのである。
もし、右の主張が容れられないとするならば、浴場業の許可は、対物的許可であり、その物的設備と一体となつて財産権を形成し、相続の対象ともなつているのであるから、これを何ら正当な補償もなく奪い去ることは憲法二九条に違反する違憲の措置であつて許されるべきことではない。
さらに、浴場業の許可は、自然人のみならず法人にも与えられるものであるが、自然人の死亡のみを権利喪失の条件とすることは、自然人と法人との間に差等をつけること

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