行政訴訟判決

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  • ◆S53. 1.30 名古屋地裁 昭和51(行ウ)18 許可処分有効確認請求事件(5)

 

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実性、急迫性、争訟の成熟性ないし法律上の利益、損害回避のための事前救済の必要性等がいずれも欠如しているから不適法な訴えである。
四 公衆浴場法二条一項の許可は、同条二項、同法三条、七条から明らかなとおり、物的要素のみならず人的要素を併有する処分である(人的物的許可)。
従つて、右許可は相続又は譲渡され得ず、経営者の変更があつたときは、新たな許可を必要とするものである。原告は新たな許可を有しないのであるから公衆浴場業を営むことはできない。
五 風俗営業等取締法四条の四第三項(適用除外)の規定は、同条一項又は二項に基づく条例の施行又は適用の際現に公衆浴場法二条一項の許可を受けて個室付浴場業を営んでいる者に限り適用されるものである。原告は右の許可を受けていないのであるから本件建物において個室付浴場業

を営むことはできないのである。
仮に、亡・Aに対する公衆浴場法に基づく本件許可の効力が、相続人たる原告に及ぶとしても、前記禁止条例の適用が除外されるのは、同条例の施行又は適用の際現に許可を受けて個室付浴場業を営んでいる者に限られるのであるから、右営業者が死亡すれば、死亡と同時に右適用除外は消滅し、相続人は営業を禁止されることとなる。条例の施行により、本件建物の所在地域における個室付浴場業が禁止されたのは昭和四一年一二月一九日であり、Aが死亡したのは昭和五〇年八月六日である。
六 風俗営業等取締法四条の四第三項の規定は、本来

ならば同条一項又は二項に基づく条例の施行又は適用と同時に営業かできなくなる個室付浴場業について、その後においても営業を可能ならしめるものである。また、公衆浴場業の許可はもともと人的要素をも考慮しているものでその既得権は一身専属的であり相続されない性質のものであるから、これらの諸点に照らせば、特定地域における個室付浴場業の禁止は、補償が与えられなくとも、憲法二九条に違反することはない。
法人に対する公衆浴場許可との比較については、法人にも人格の消滅がありうるのであるから、自然人の死亡を権利の消滅原因と定めたとしても自然人と法人との

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