行政訴訟判決

行政訴訟判決

  • ◆S53. 1.30 名古屋地裁 昭和51(行ウ)18 許可処分有効確認請求事件(8)

 

前ページへ  次ページへ

のを規制の対象とするよりも、むしろ浴場業の営業行為に着目し、人の営業行為を対象とする人的規制の方法を選択しているものと解するのが相当である(この点において、公衆浴場業の許可は、道路運送車両法五八条の車両検査、食品衛生法一四条の食品検査の類とは異なり、質屋営業法二条、旅館業法三条の許可等とその性質を同じくする。)。このように、公衆浴場法は、その目的を遂げるため、人的規制の方法を採り、公衆浴場業については営業行為の自由を一般的に禁止しておき、特定の者から許可の申請があれば審査の上許可を与えて、その者に営業行為の自由を回復せしめるのであるから、その許可はいわゆる対人的処分であり、許可の効果は当該申請人についてだけ生ずるものというべきである。(許可の審査において審査される事項は物的事由に限定されているけれども、それは申

請人に営業を許すべきか否かを決定するための審査事由に過ぎない。)
従つて、これを対物的許可とする原告の主張は採用しない。
附言するに、公衆浴場業の許可がこのように対人的処分であるとしても、このことから直ちにこの許可における物的要素の必要性が否定されるものではない。何故ならば、公衆浴場業においては、その営業の性質上、特定の設備構造を備えた浴場施設(物的要素)を当然に必要とするのであり、これなくして浴場業という営業行為もまた成り立ち得ないところであつて、公衆浴場業の許可もまたかかる営業行為を対象とするものである以上当然にそのこ

とを前提とし、その故に物的要素を審査した上で与えられているものだからである(従つて、公衆浴場業の許可は、対人的物的許可とでもいうべきである。)。
以上のとおり、本件許可は、特定の申請人に対してのみ効果を生ずる対人的処分と解すべきものであるから、相続によつて当然承継されることはなく、その効果は当該許可を受けた者の死亡によつて消滅するのである。(なお、名古屋市公衆浴場法施行細則四条は「公衆浴場を相続により営業しようとする者は、営業許可申請書の記載事項の一部を省略することができる。相続の場合において一五日以内に前項に定める手続をしたと

前ページへ  次ページへ