行政訴訟判決

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  • ◆S53. 1.31 名古屋高裁 昭和50(行コ)14 不当支出取消請求控訴事件(3)

 

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の議決がなされていない。
もつとも、本件鉄塔移転費用について、昭和四四年一一月二六日、市議会で議決がなされているが、乙第三号証の一、甲第一六号証の作成日付の訂正、および敷地の所有権移転登記が同年一一月二四日売買を原因としてなされていることから、それ以前の同年一一月六日に売買契約が成立しているとみられる。
これは、市議会の議決の前に、債務負担契約がなされたものであつて、地方自治法九六条に違反する売買契約である。
四、その他の事情
1 低開発地域工業開発促進法(以下低工法という)について
美濃加茂市が低工法の指定をうけていても、同市が工場誘致をなすべき法的義務はない。
同法六条にいう「資金の確保その他の援助」とは、金融機関から資金の貸付や斡旋を予定しているものであつて、地方公共団

体から特定企業に補助金支出を許容しているものではないし、また、日立製作所は、大企業であつて、資金援助を必要とする企業ではない。
同法七条は、工場進出が可能となるような条件(環境)整備に努めるべきことを定めているだけであつて、例えば工場団地を造成し、その経費を加算して、企業に分譲することを予定しており、地方公共団体が誘致した工場敷地の整備をなすべきことを定めているのではない。
2 本件補助金の工場敷地一平方メートルあたりの単価について
本件補助金の対象となつた鉄塔除去費用は、取引された本件工場敷地の平方メートルあたりに

換算すれば、一平方メートルあたり、わずか一九七円であつて日立製作所負担分は、その半額の九八円にすぎない。
したがつて、本件補助金は、買収代金と売渡代金の差額によつて捻出することもできた筈である。
3 日立製作所と市当局のゆ着について
本件補助金支出の背景には、日立製作所と、市ならびに公社斡部とのゆ着がある。
すなわち、市議会議員、市教育委員ら市の斡部は、日立製作所工場内に従業員の賄いを業とする中濃食品株式会社を設立してその役員となり、同社の営業施設等は、日立製作所から無償で提供をうけて利潤を得ていた。のみならず

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