行政訴訟判決

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  • ◆S53. 2.14 東京高裁 昭和50(行ス)13 被告変更申立却下決定に対する即時抗告申立等事件(5)

 

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収用裁決が「正当な補償」をしていないことを主張しているのであつて、まさに損失の補償に関して申し立てているのである。原告が、そこで引用した意見書も、裁決が損失補償に関して「主観的な感情価値」とか「特殊価値」などと述べていることに対する反論であつて、収用裁決に伴う補償金額を争う意思が表明されていることは明らかである。
更に、対価に対する不服、損失補償に対する不服は、単に補償の額又は方法に関する不服のみならず、「補償の原因たる損失の認定に関する不服をも包含する」(法律学全集、公用負担法(新版)柳瀬良幹二二六頁)ものであつて、前記訴状請求原因二(I)において「正当な補償について審理するには、当該対象物件について精査し、実体を正格に判定することがその前提要件でなければならない」と主張したのも、この補償の原因たる損失

の認定につき、収用委員会のなした認定の誤りを起因とする対価に対する不服を述べたものなのである。
原告は、既に、昭和四四年二月一五日付陳情書において「地形上取付道路の関連もあつて、境内全面的に伽藍配置替に伴う用地造成物件移転の必要を生じております」との意見を持つていたものであるところ、本件収用裁決においては、こうした用地造成物件移転の補償の原因たる損失の認定を誤つたもの(特に本堂および墓地などの移転費等についての損失補償の欠如)であるから、前記の通り不服の中心をここにおいて記載したものに外ならない。
これによつても具体的対価

増額の主張を云々することが意味をなさないこと明らかである。
三 原告は、前記予備的請求を別訴として提起したのではなく、本件訴訟において追加的に請求の趣旨変更の申立をなしたのに過ぎない。このような場合には、そもそも係属している訴訟および弁論は一個であつて共通しているのであるから、併合の問題は起らない筈である。同一訴訟手続において、予備的請求を追加的になした結果、その訴訟が客観的予備的併合になる場合でも、主観的予備的併合になる場合でも右の理は異らない。
しかるに原審は、原告のなした前記請求の趣旨変更の申立を、追加的併合許可の申

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