行政訴訟判決

行政訴訟判決

  • ◆S53. 2.14 東京高裁 昭和50(行ス)13 被告変更申立却下決定に対する即時抗告申立等事件(8)

 

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かりに、後者を予備的とする訴えの併合が許されないとすれば、土地所有者としては、まず収用裁決取消請求の訴えを提起し、その敗訴が確定したのち、損失補償金増額請求の訴えを提起するのが順序であるが、損失補償金増額請求の訴えの出訴期間は裁決書の正本の送達を受けた日から三月以内と定められている(土地収用法一三三条一項)ので、通常の場合収用裁決取消請求訴訟の判決が確定したときにはすでに右出訴期間が徒過していて、もはや損失補償金増額請求の訴えは提起できなくなつているはずである。右出訴期間を遵守しようとすれば、土地所有者としては一方で収用裁決取消請求の訴えを提起し、その結果を待たずに他方で別訴により損失補償金増額請求の訴えを提起しておかなければならないことになる。
これは、憲法第二九条でその所有権を保償された土地所有者が、

同条三項によつて、公共のために用いるに際して、「本来ならば裁決に対する不服としてその取消しを求めて収用委員会を相手に抗告訴訟として提起すべきところ」であるのを、土地収用法第一三三条によつて特別に当事者を特殊に変更されている結果である。
しかるに、土地収用において、第一次的に裁決のうち、収用そのものに対して不服があり、尚かつ、第二次的に裁決中の損失補償に関しても不服を有する者は、本来であるならば裁決に対する不服として、被告を収用委員会として一個の訴を以て、その不服の理由の有無が判断されるべきところ、主観的予備的併合を認めない場合に

は土地収用法の右規定によつて、たとい収用裁決に取消しうべき瑕疵があつても収用裁決取消訴訟において敗訴する場合を慮つて、他にその訴訟における主張と矛盾した主張を前提とした損失補償請求訴訟を提起しておくことが必要となり、結果的には無用な訴訟の提起を強いたことになる場合を生ずるのであつて、土地所有者の権利実現という観点からは、不当な不利益を負担せられることとなるのである。
従つて、右立法により、土地所有者において負担している不利益との衡平の観点よりして、土地収用法第一三三条による起業者は、主観的予備的併合より来る「応訴上の不安定不利益

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