行政訴訟判決

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  • ◆S53. 2.14 東京高裁 昭和50(行ス)13 被告変更申立却下決定に対する即時抗告申立等事件(19)

 

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、宗教と宗教団体の客観的存在を当然ながら信教自由の見地から認めた上で、更にこれを深く掘り下げて検討を加え、適切な判断を下したのであつた。
同判決は、「社寺等の宗教活動を行なうのに必要なもの」として「その宗教目的のために必要な当該社寺等に固有の土地を意味する」との一般的基準を掲げ、更に「その範囲・・・・・・・・・は、宗教教義、宗風、伝統、慣習等を異にする社寺等によつておのずから差等があることは当然であり、特定の土地がこれに該当するか否かの判断にあたつては、当該土地の性質、形状、所在の地理的条件及びこれを従前境内地としてきた社寺等の上記のような面における特殊性をも無視することはできないのである。」 と具体的な判断基準をも掲げ、境内に必要な風致林野とは、「祭典、法要又ハ参詣道ニ必要ナル箇所」や「歴史若クハ古紀社

伝等ニ於テ社寺ト密接ノ縁故アル箇所」を含むと解される、と判旨したのであつた。
右判旨は、宗教団体の伽藍、境内地の機能的一体性につき、その掲げる幾つかの判断基準から、客観的に存在する価値として司法上も判断可能なものであることを明瞭に判旨したものであつて、本件収用裁決の言うように、それを「主観的感情価値」などと判断することが誤りであることを先例として明示しているものと言わねばならない。
4 原審の経過
本件においては、抗告人(被告)の主位的請求は勿論であるが、右に触れた幾つかの理由により予備的請求につき審理がなされないな

らば、憲法で定める信教の自由と幾多の先例は無視された結果となるであろう。
そこで、本件原審における経過につき、ここでは特に触れておく必要があると考えられる。
本件訴訟は、原審において準備手続に付され、昭和四九年一一月九日以来、終始準備手続として継続してきたが、その内容の実質は、以下に述べるごとく、裁判官の訴訟指揮は損失補償請求をめぐる和解接渉に大部分の比重が置かれ、その結果、各当事者とも自然そこに重点を置いて対処してきたのが実情である。しかも、重視しなければならないのは、その準備手続期日には、主位的請求の当事者のみならず、

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