行政訴訟判決

行政訴訟判決

  • ◆S53. 2.21 東京高裁 昭和48(行ケ)170 裁決取消請求事件(12)

 

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いうべきである。
しかしながら、原告の右犯罪事実のうち、その多くを占める詐欺、横領の事実は、いずれも政治家としての地位に関連して行なわれたものであるが、原告がその後政治家たることを断念し自粛自戒の生活を送つて来た事実は、成立に争いのない乙第一号証、原告本人の供述並びに弁論の全趣旨によつて認めることができ、これに右各判決確定後における時間の経過など諸般の事情を総合して勘案すると、右の各犯罪事実から、直ちに被告の主張するように、一般弁護士及び弁護士会の信用を害する虞れありと認定するには躊躇を感ぜざるを得ない。なお、乙第一四号証の一、二によると、原告は前示確定判決により大阪弁護士会を退会した後の昭和四一年八月二九日大阪地方裁判所同年(ワ)第四一〇号建物収去土地明渡請求事件の被告Bの依頼を受けて答弁書を作成しその

手数料金三万円及び賃料供託金として金八、八〇〇円の交付を受けて、弁護士に非ずして弁護士業務を行なつた事実を認めることができるけれども、右乙号証によれば原告はその後右行為を反省してその金員も返還し、大阪弁護士会においても告発を猶予してこれを不問に付した事実を認めることができるから、右の事実によつて前叙認定を覆えすに足らず、他に原告の弁護士名簿登録によつて一般弁護士及び弁護士会の信用を害する虞れがあるとの事実を認めるに足りる証拠はない。したがつて、この点に関する被告の主張を採用することはできない。
六 さらに、被告は、原告は心身の故

障により弁護士の職務を行なわせることがその適正を欠く虞れがある旨主張するので、この点について検討を加える。
原告が昭和四七年六月二七日脳梗塞症を発病した事実は、当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第六号証の一、二、乙第一号証、第一二号証の一ないし四、第一三号証の一、二、証人Cの供述によつて成立を認める甲第九号証、証人Dの供述によつて成立を認める甲第七号証に、証人C、Dの各供述を総合すると、原告(明治三六年六月一六日生)は昭和四七年六月二七日脳梗塞症を発病し、その後遺症として右上下肢麻痺及び失語症を後貽したが、判断力には異常が

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