行政訴訟判決

行政訴訟判決

  • ◆S53. 2.21 東京高裁 昭和48(行ケ)170 裁決取消請求事件(13)

 

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なく文字の理解も良好であること、原告は右症状のため同四八年六月四日星ケ丘厚生年金病院に入院して言語、左利手交換、日常動作、歩行など各種の訓練を受けて同年一〇月一日に退院し、その後自宅において同様の訓練を続けていたこと、その後失語症は保続が少し残るという軽度とななり、しわがれ声でゆつくりではあるが会話も可能となり、右上肢は廃用手となつて右上下肢に軽度の麻痺を後貽したが、利手交換の結果左手で書字ができ、平地における独歩も可能となつた事実を認めることができ、右認定を左右するに足りる証拠はない。
右の事実によれば、原告の脳梗塞症の後遺症である失語症と右上下肢麻痺は、各種訓練の結果その障害の程度が軽度にまで恢復したというものの、なお、会話、歩行、日常動作及び書字などに多くの制約の存することは否定しえないことであつて

、そのため弁護士として自ら出廷或いは現地に赴いて証人尋問の衝に当たるような極めて困難な事柄に属するものと考えられるが、判断力には異常がなく、文字の理解も良好であるというのであるから、自ら弁護士としての職務を遂行しようとする意思と熱意の存する限り、適当な介添人を付するなどして身体的障害を補い、例えば契約書の作成、助言など年令とその身体的な能力に応じ、弁護士としての職務を行なうことは必ずしもできないものではなく、また、原告に右のような職務を行なわせることが、その適正を欠くと認めるに足りる証拠もない。そして、証人Eの供述によつて成立を認める

甲第一〇号証に証人F、Eの各供述を総合すると、大阪弁護士会所属弁護士中にも原告の入会を支持する向きが少なからず存する事実を窺うことができるのである。
これを要するに、原告の脳梗塞症による後遺障害の程度によつては、いまだ弁護士の職務を行なわせることがその適正を欠く虞れがあると認めることはできないというべきであるから、この点に関する被告の主張も、また採用することができない。
七 以上の次第であるから、大阪弁護士会において原告の本件弁護士名簿登録請求の進達を拒絶した措置を是認するとともに、身体障害の存することを理由に原告の審査請

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