行政訴訟判決

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  • ◆S53. 2.28 仙台高裁 昭和52(行コ)1 盛岡広域都市計画用途地域指定無効確認請求控訴事件(2)

 

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立ち至ることも多く、究極的にはその権利はなきに等しいものになる。第一、土地所有者が都市計画法に準拠する用途地域によつて制限される建築基準法に適合しない建築確認申請を設計事務所に依頼しても建築主事と常に密接な関係にある設計事務所としては絶対に協力してくれない。具体的な権利変動の生じない用途地域決定の段階では未だ訴訟事件としてとりあげるのに足るだけの事件の成熟性に欠けるというのは、実情を無視した甚だしい暴論といわなければならず、そもそも事件が成熟に至る萌芽さえ摘み取つている都市計画法、建築基準法の直観的構造を無視したものといわなければならない。
控訴人らはかねて都南病院の敷地の一部に体育館を建設して雨天又は冬期の患者の運動の用に供したいと企図し、昭和五〇年はじめころから具体化して、設計事務所に四二八平方メート

ルの体育館の設計を発注したが、同年末ころ基本設計ができた段階で設計事務所から工業地域と指定されていることにより建築基準法に触れるおそれがあるとの疑義が述べられ、控訴人らは既定方針どおり設計するよう再三依頼したにも拘らず拒否され、控訴人らも建築をいつまでも遅延するわけにもいかなかつたので終に折れ、原設計を縮少して申請し、昭和五一年四月一五日建築確認を受けたけれども、このように本件指定処分には都市計画法による用途地域決定自体が直結している建築基準法による制限を伴うものであり、建築基準法所定の確認申請の不許可処分のあつた場合でなければ、さか

のぼつて地域指定処分の効力を争うことができないとすることは迂遠であつて、裁判を受ける権利を不当に制限したものといわなければならない。
しかのみならず、本件工業地域指定処分以来周囲の環境はとみに悪化し、騒音は激しくなり、危険のおそれのある工場等が進出して精神病院としての機能を全うすることがむずかしくなつてきている。控訴人らは治療に必要な作業場の建設も計画しているが、このまま放置すれば精神病患者の治療にも著しい障害が現われることは必至であつて、やがては病院移転の必要も生じてくるが、患者と家族との接触が最良の治療だとされている特殊性か

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